オゾン水について
オゾンとは
ドイツ、スイスの化学者である、クリスチアン・シェーバインによって1840年に発見されました。彼は雷雨の中でオゾンが現れることに注目し、その奇妙なにおいから、ギリシャ語で臭いを意味するオゼインに因んでオゾンと名付けました。
自然界には、地上25㎞付近に濃度10~20ppmのオゾンが存在します。地上では、日光や紫外線によりオゾンが生成されており、海岸では濃度0.05ppm、森林地帯では0.05~0.1ppmのオゾンが存在しています。
比重:空気の1.54倍
化学式 O₂(酸素分子)+ O(酸素原子)= O₃

オゾンは、自然界ではフッ素に次ぐ強い強酸力を持っており、塩素の約7倍です。この強力な酸化作用は、殺菌・脱臭・漂白などに利用されています。
ヨーロッパでは古くから様々な分野で利用されており、近年、日本でも医療・農業・水産業など、様々な分野で利用されています。

オゾン利用の実例
オゾンは様々な分野で活躍しています。ほんの一例をご紹介します。
水道局
全国17都道府県、61箇所の浄水場で高度浄水処理にオゾンが使用されている。
- カビ臭を取り除くことができ、塩素臭も気にならない水道水となる。
- 浄水過程で使用する塩素と、水道原水中に含まれる有機物を一部が反応して生成されるトリハロメタンを抑え、年平均で基準値の10分の1以下にすることができる。
- クリプトスポリジウムといった病原性微生物に対し、オゾンの強い酸化力により消毒できる。
食品分野
カット野菜等、冷凍マグロ(水産加工工場)等
- オゾンは既存食品添加物に認定されており、一部の食品及びその製造に古くから利用されている。
- 食材洗浄に利用されており、食品の味を損ねず。クロロホルムが生成されにくい。
- カット野菜や食品原材料の腐敗を遅らせ、鮮度を保つ。
- 牡蠣や二枚貝等のノロウイルス感染対策として、洗浄や解凍に使用されている。
製紙工場
パルプの漂白
- 漂白で使用している塩素をオゾンに代替することで、ダイオキシンの発生を抑えることが可能となり、環境負荷の低減につながっている。
- 薬剤での漂白時に工場から発生していた異臭も、オゾンを利用することで抑えられている。
タオル工場
今治タオル等
オゾン漂白を採用することにより、二酸化炭素の排出や薬品使用料の大幅な削減が可能となった。
オゾン漂白は平成20年6月20日にエコマークの基準認定を受けており、正式に国が認めている環境技術である。
オゾン水とは
オゾン水とは、オゾン(O₃)を水に溶解させたものです。水中では、オゾンよりも強力な酸化剤であるOHラジカルが生成され、様々な酸化作用を引き起こします。
OHラジカルの生成
オゾン(O₃)は不安定な分子であるため、オゾンの状態で長時間存在することができず、酸素原子(O)を1個放出して酸素分子(O₂)に戻ろうとする性質を持っています。
自己分解された酸素原子が水中の水分子(H₂O)から水素原子(H)を奪うことにより、OHラジカルの生成が起きます。
OHラジカルは電子が不足した不安定な状態であるため、自身が安定するために近くの有機物から電子を奪い取ります。また、反応性が高く、強力な酸化力を持っているため、電子を奪われた有機物は結合を分解されます。この作用により、殺菌・脱臭・漂白などの効果が得られます。

作用原理
オゾン水による殺菌作用は、
- 細胞壁や細胞膜の破壊・分解により、細胞内の成分が漏出する溶菌を起こす
- 細胞内の酵素や核酸の失活
- 細胞透過率に変化を生じさせることにより、細胞を分解
- 脂質やタンパク質の酸化による変性
などによって起こります。また、それらを同時に起こすことにより、殺菌効果を得ています。
特徴
- オゾン水の特徴として、
- 細菌・ウイルス等の微生物への高い除菌効果と即効性
- 幅広い殺菌スペクトルを持っている
- 薬剤を使用しないため、皮膚への刺激性が少ない
- 耐性菌ができにくい
- 酸化作用後は水と酸素に戻るため、残留性がなく環境に優しい
などが挙げられます。
オゾン水、アルコール製剤、流水による手指洗浄結果
ハンドレックスで生成されたオゾン水を使って、洗浄効果や手指への刺激性について、石鹸を用いない流水とアルコール性手指消毒剤との比較テストを行いました。
【方法】
- 医療従事者30人を対象に、勤務開始前の手洗いを行っていない状況下で試験を行った。
- 被験者を①流水群、②アルコール群、③オゾン水群に分け、手洗い前後にハンドスタンプによる手指培養を行い、検出コロニー数を比較した。
【結果】
- オゾン水60mlを用いた手指洗浄で、アルコール製剤と同程度の手指洗浄効果が得られた。
- オゾン水の、肌に対する刺激性はほぼ認められなかった。


第31回日本環境感染学会総会・学術集会 一般演題発表
「オゾン水を用いた手指消毒の有効性に関する検討」より抜粋(一部改変)
オゾン水による新型コロナウイルスの不活性化効果を確認
[2020年8月19日]
弊社製造「HANDLEX(ハンドレックス)」の販売元である日機装株式会社が、宮崎大学医学部の共同研究講座「医療環境イノベーション講座 Collaboration Labo. M&N」において、新型コロナウイルスに対するオゾン水の効果を検証し、その有効性を確認しました。
新型コロナウイルスに対する有効性評価
【評価ウイルス】
・新型コロナウイルス(SARS-CoV-2 ウイルス)
【試験品】
・10mg/Lオゾン水
【試験方法の概要】
ウイルス液を入れたマイクロチューブに、オゾン水を滴下した。オゾン水処理後のウイルス液を細胞に接種し、ウイルスの感染価を測定した。
【試験結果】
ウイルス液+培養液もしくはウイルス液+滅菌水道水を接種した細胞では多数のプラーク(大小不同の白い点;ウイルス増殖の所見)を認めるが、ウイルス液+10mg/L オゾン水を接種した細胞では、プラークを認めなかった。これは、オゾン水により新型コロナウイルスが不活性化されたことを示している。
※本試験は、オゾン水での実験の結果であり、実使用環境での効果を示すものではありません。